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2012年7月16日 (月)

影があるから日向がある(「ひなた」 吉田修一)

最近大好きになった吉田修一さんの「ひなた」を読みました。映画化された「悪人」や「パレード」が有名ですが、吉田作品の持ち味はそのニ作というより、もっと何も起こらない淡々とした日常を描いた作品にある気がします。この「ひなた」は完全にその何でもない日常を描いた作品。登場人物は大学生の男とその彼女。そしてその兄と兄嫁と兄の親友。その五人の一年間の日常を四季に分けて書いてあります。一見すると幸せな日々を送っているんですが、そこには不倫・同性愛・出生の秘密などなど、色んな影を抱えて生きています。一つ一つの問題は深そうな感じですが、そんなにドロドロした感じを全く抱かせないんです。でも日常に忍び寄る不安の影を上手に描いてあります。兄嫁がバリバリに働いていた出版社を辞め専業主婦になった時、外から戻った時自分達の暮らす家を複雑な思いで見上げていこう言います。「私達幸せになれるのかな?」外から見れば十分幸せな家庭。でも人はどんな状況であろうと不安と焦燥感を感じている。吉田さんは本当上手いです。映像化は難しい作品ですが、噛めば噛むほど味の出る吉田節炸裂の一冊でした。

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