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2012年4月 6日 (金)

恐ろしい程静かな傑作(「静かな爆弾」 吉田修一)

「パレード」「悪人」の映画化で一気に有名作家になった吉田修一さんの「静かな爆弾」読みました。何と言うタイトル!表紙だけ見れば恋愛モノ。その話に爆弾と言う違和感のあるタイトル。非常に興味津々で読み始めました。報道番組の製作に勤める主人公の男は日々仕事に追われる生活をしています。そのお陰で過去の恋人達とは総てすれ違いになり言い合いになり別れを切り出されています。そんなある日公園で一人の女性と出会います。彼女に不思議と興味を持った主人公は声をかけます。何と彼女は耳が聞こえない女性でした。流れで二人は付き合いあい始め、静かで波のない生活を送ります。ある日主人公は海外に長期取材に出かけることに。仕事をこなしで戻って来ると彼女と全く連絡が取れません。果たして何があったのか?そして二人の運命は?という物語です。爆弾と言うタイトルが最後分かる仕組みになっています。読んでいて一語一語が命を持つかのように何かを語りかけてくる傑作でした。幾つか言い言葉があったので書いておきます。(最小限の言葉。少なければ少ないほど、相手に確実に届く言葉。響子と向き合うようになって俺はそんな事を良く考えるようになった)現代人は余りにも言葉を大切にしなくなりました。言葉の重要性を感じさせるセリフ。(先に口から飛び出した言葉を、まず頭の中で文章にして、それをメモ帳に書く。とても単純なことなのだが、この経験が人を、というか人間の感情を収めてしまう事もあるのだ)耳が聞けない彼女なので、怒りを伝える手段も幾つかの工程を経る。その事で不思議と感情が収まると気づく。今までの彼女にぶつけていた感情の理不尽さにも気づく。得てしてこういう物語は、耳が聞けない事に対するお涙頂戴のようになりがちですが、そういった点が全く無い。逆に聞こえない事で得たモノが、健常者の駄目なところを突いています。恐ろしい傑作に感じました。凄い!吉田さん。個人的には「悪人」の何倍も良かったです。

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