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2012年1月 5日 (木)

失くしたものは永遠に同じ形で戻ってこない(「幻痛・ファントムペイン」 牧村泉)

新年一発目の紹介は本から。牧村泉さんの「幻痛 ファントム・ペイン」です。牧村さんは「邪光」という作品でホラーサスペンス大賞の読者賞を受賞しデビューしました。既に読んでますが、じっくり文章を書き上げるタイプの作家さんという印象が強く残っています。さて二作目の今作はどうでしょうか?説明のしにくい物語です。三年前に出ていった夫がある突如として姿を表します。それも若い女性と子供を人質にとって嘗て二人が住んでいた家に立てこもります。分けも分からず戻った主人公の妻は、状況がつかめぬ内に、夫は少女に殺害され、少女も自殺をします。事件後どうやら夫は犯人ではなく、少女が犯人で夫は被害者と分かります。しかし何故夫はその少女と出会い、こんな事件まで巻き込まれてしまったのか?その謎を妻と少女の母親は知りたくて仕方がありません。そして真実を知る過程で二人のとった行動は・・・。ざっくりこんな感じの内容ですが、細かく書くともっと沢山の人達が絡んできます。デビュー作と同じ様にミステリーというよりは、主人公や登場人物の心の動きをじっくり書き上げた物語です。いい言葉もありました。(なくしたら誰かて痛い。そやけど、痛みを感じるということは間違いなく、それがそこにあったということやねんて)タイトルにもなっているファントムペインとは、例えば指を失くした後でも何時までもそこに指があるかのように痛むことを言います。その現象を上手く物語りに組み込んであります。上手い作家さんだとは思うので、もう少しワクワク感のある展開の物語があれば更に面白くなると感じます。年明け一発目としては及第点の読書でした。

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