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2011年8月 5日 (金)

ゾワゾワする小説(「元職員」 吉田修一)

「悪人」で一躍ブレイクした吉田修一さんの「元職員」を読みました。地味なタイトルに何だか吉田さんの独特の感性を感じます。主人公がタイにやってくる所から物語が始まります。そこで出合った日本人の青年と、娼婦の三人の物語です。とは言っても何か特別な事が起こるわけではなく、淡々と物語りは進行して行きます。そしてジワジワと主人公の隠された謎が明らかになっていきます。このあたりのジワジワ感は流石だと思います。主人公の気持ちに重なり、自分もゾワゾワしてきます。しかし先程も書いたように特別な事件が起こるわけではないので、ちと物足りなさも感じます。印象に残った言葉があるので書いておきます。「嘘って、つくほうが嘘か本当か決めるもんじゃなくて、つかれたほうが決めるんですよ。きっと。もちろん嘘をつくほうは、間違いなく嘘ついてんだけど、嘘つかれたほうにも、それが嘘なのか本当なのか、決める権利がある」深い言葉です。

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