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2011年7月 2日 (土)

男と女の幻想を描いた一冊(「水底の森」 柴田よしき)

柴田よしきさんの「水底の森」読みました。見つけると必ず読む作家さんですが、時折もの凄い作品に出会う作家さんの一人でもあります。今回読んだ作品はそのもの凄い作品の部類に入る一冊だと思います。物語はとあるアパートでおこった殺人事件から始まります。顔の潰れた死体が一体。そしてそこに住んでいた夫婦が失踪します。勿論殺人事件の容疑者として手配されます。しかし直ぐに旦那の方は死体で発見されます。残ったのは風子という女性。刑事がこの女性を追う形で物語が進んでいきます。彼女の過去の経歴を調べれば調べるほど不幸な人生が浮き彫りになっていきます。そして展開は大ドンデン返しの急展開!果たして彼女は犯人なのか?彼女の行き着く未来は?といった感じです。複雑な物語なんで完結にストーリーを書くのが難しいです。最後で犯人が分かるのでミステリー小説ですが、その点より男と女の物語と言った方がしっくり来ます。名言が幾つかありました。例えば「あんたが求めたのは寝心地が良くて良い夢が見られる頑丈な腕枕なんだよ。そして俺が欲しかったのは、やっぱり寝心地が良くて良い夢が見られる膝枕だった」ちょっと演歌ぽいけど納得。そしてこうも言います。「昔すすめられて読んだ恋愛小説で、男と女は抱き合い互いの体を確かめ合う事さえすれば分かり合える、と書いてあったが、だがそんなことはまるきり嘘なのだ。体を重ねる事は、錯覚を育てるだけのこと。分かったようなつもりになれる、それだけのこと」これは女性作家さんらしい視点ですよね。人間(男と女)は皆錯覚、もしくはそう思わないと生きてはいけないから、自ら言い聞かせて生きているんですね。でもそれでちっぽけな幸せを感じるならそれでいいんでしょう。つまり幻想に浸れる人ほど幸せと言う事ですね。柴田さん、面白かったです。「聖なる黒夜」以来の久々に読み応えありました。

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