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2011年6月 3日 (金)

この世界の総ての事には意味なんて無い(「月読」 太田忠司)

太田忠司さんの書き下ろし新作「月読」を読みました。「月読」と書いて(ツクヨミ)と読みます。月読みとは日本神話に出てくる神様で、万葉集などにも登場する名前だそうです。その月読を現代に上手く設定した作品です。主人公は月読と呼ばれる稀有な存在。物語の中では現実の世界に普通に存在する特殊能力の存在です。その能力とは(人が死ぬとその場に月導という情念が形として残り、その想いを読み解ける)という力です。生まれながらその能力を持つ人間を(月読)と呼ばれ、それなりに大切な役割として人々に役立ってます。そんなSFのような設定ですが、物語はガチガチのミステリーです。そのアンバランスさがこの小説の売りな気がします。SFはあまり得意ではないですが、結構面白かったです。特に後半怒涛の謎解きの展開は読んでいて気持ちよかったです。印象に残った言葉を。「意味、なし。これが真理ってやっだ。この世界の総てのことには意味なんて無い」と自ら言っておきながらラストでこう言います。「意味は結論ではないよ。たぶん意味は結論に至る道筋の中にあるんだ(中略)意味を知ろうとすることに意味があるんだ」と。意味が無いと言っておきながら、意味を知ろうとする事に意味があるというパラドックス。でも意外にこれは真理かもしれませんね。

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