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2011年3月11日 (金)

今度はロストジェネレーション世代だそうだ(「灰色のダイエットコカコーラ」佐藤友哉)

ロストジェネレーション(失われた10年)を代表する記念碑的な傑作という帯びに惹かれて読んだ本があります。佐藤友哉「灰色のダイエットコカコーラ」という一冊です。タイトルから普通ではないぞ!という雰囲気をかもし出しています。出だしにこう書いてあります。(十九歳のおまえは他人に純粋にまじりっけなしに自分はこういうものだと言う事ができるだろう。ところが、二十五・六にもなると風化してきたぼろぼろの岩のように崩れてきてある日すっかり硬いダイヤモンドのようだったものが砂になってしまっていることに気づくんだ。後に残っているのは十ぱひとからげのどこの映画館に行っても上映している通俗の安ものの感傷しかないんだ」と。まさにこの言葉がこの物語の総てを表しています。権力もカリスマ性もあった祖父の影響を多大に受けて育った主人公は、自分は他の存在とは違うと思い青春時代を過しています。しかし実際は何の力も能力もないんです。その事を自覚するための日々を小説にしてあります。いささか乱暴ではありますが、一人の青年の成長譚です。読み始めて直ぐに感じたのが、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」との類似性でした。物語の差異はありますが、表現方法は同じだと思います。傑作か?と問われれば違うと答えますが、妙に生生しい魅力のある小説だったのは間違いないです。他のも読んでみたくなりました。

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