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2010年12月 2日 (木)

壮大な一人の任侠の物語(「羊の目」 伊集院静)

伊集院静さんの「羊の目」を読みました。普段ほぼミステリーしか読まない私なんで、何故に伊集院さん?と思われるかもしれません。その訳は、このミスの番外で結構評価が高かったからです。そんな記憶が何となく頭にこびりついていて、100円で見つけたのが読んでみました。物語は一人の夜鷹(よたか)が子供を生む話から始まります。自分で育てられない為、とあるヤクザ者に息子を預けます。その子供の死ぬまでの一生を描いた連作短編です。ヤクザの親分の元で育てられた、主人公は、人生の総ては親(親分)が総て。親が言う事は総てで、言われるがままに殺人や悪事を働きます。しかしその心には悪意など全くなく、親に対する純粋な忠誠でしかりません。どれだけ裏切られても信じ続けるんです。途中逃走先のアメリカで、キリスト教に出会い、葛藤こそあるのですが、やはり親への絶対的忠誠は揺るぎません。性善説か性悪説か、よく議論はされますが、この物語は完全に性善説です。壮大な任侠物語ですが、結果尻つぼみで終わった気がするのは残念です。冒頭の話はかなりワクワクさせるパワーがあったんですが、今ひとつ盛り上がりにかけました。花村萬月の「ワルツ」のこじんまりした版という読了感でした。

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