« 映像畑出身の作家作品(「6時間後に君は死ぬ」 高野和明) | トップページ | 残念で仕方ない!(「渇き」 パク・チャヌク監) »

2010年10月29日 (金)

物語りも作者の死も夢の中(「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」 打海文三)

打海文三さんの「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」を読みました。打海さんの作品を読むのは話題作「ハルビンカフェ」以来二冊目です。「ハルビンカフェ」の印象が余りよく良くなかったので、打海さんの本はもう二度と読むことは無いと思っていたんですが、帯びにあるコピーに惹かれ何となく読んでみました。そしたらどうでしょう!読み始めたとたんにこの小説は傑作になるかも?という予感がありました。幼馴染にして雑誌社に勤める男とライターの女性、そして売れっ子にして謎めいた女性作家とその飼い犬。男女三人と犬が主要な登場人物です。ひょんな事から仲良くなった三人が、作家の別荘で一晩を過します。しかしその夜の犬がライターの女性を食い殺さんばかり襲い方をします。作家は心を痛め犬を処分したと伝えられます。しかし処分されたはずの犬が色々な所で目撃され、それと同時にSARSが流行りだします。一見何の関係もないような事柄実は繋がっていました。三人の結末は破滅に向かっていきます。果たして結末は?といった感じです。読了後の印象を一言で言うエロス&哲学と言う感じです。読む人を選ぶかもしれませんが、個人的には大ヒットでした。しかし読了後に分かったんですが、知らないうちに打海さん既に亡くなってしまってたんです。残念。こんな作品だったら何冊も読みたかったです。印象に残った言葉を書いておきます。「小説であれ哲学書であれ、文章は必ず誤読される。人は自分の都合のいいように誤読するもの。他人が書いた文章も自分自身の人生さえもね」深い言葉です。そして時間が傷を癒すという言葉に対して作者は「時間とは辛い記憶を積み重ねることでもある」と主人公に言わせてます。物語の軸は全然違いますが、根底にハードボイルドの味わいに溢れた佳作だと思います。

|

« 映像畑出身の作家作品(「6時間後に君は死ぬ」 高野和明) | トップページ | 残念で仕方ない!(「渇き」 パク・チャヌク監) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 物語りも作者の死も夢の中(「ドリーミング・オブ・ホーム&マザー」 打海文三):

« 映像畑出身の作家作品(「6時間後に君は死ぬ」 高野和明) | トップページ | 残念で仕方ない!(「渇き」 パク・チャヌク監) »