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2010年9月24日 (金)

沖縄の歴史を忘れない為にも読むべき作品(「弥勒世」 馳星周)

馳星周といえば「不夜城」というイメージが未だに一般的には強い。まーそれだけ「不夜城」という作品の登場がインパクトがあったという事であるから、それはそれで凄いことですね。でもその後の作品のイメージが無いというもの寂しい話。個人的には結構好きな作品(生誕祭など)もあるので評価の低さに少し残念な気がします。評価の低さの理由の一つに、どの作品も手触りが似ている点にあるんだと思います。しかしどの作家も自分の持ち味というのがあるのだから、これもいたしかたない事です。ノワールという分野は中々一般的には認識されづらい分野です。それでも私は好きなんで、馳作品は総て読んでます。手放しで喜べる作品が中々ないのはじれったかったんですが、今回の「弥勒世・みるくゆー」は久々に皆さんに手放しでお薦めできる傑作でした。舞台は1970年代の返還前の沖縄。不安定な社会情勢の沖縄で、孤児院で育った若者が登場人物。アメリカ・本土のやまとんちゅう・そして沖縄の島んちゅう それぞれの立場と想いが交錯し、どんどん崩壊に向かっていく姿を丁寧に描いてあります。大まかな流れは何時もの馳節と同じですが、沖縄という、実際の歴史の舞台を織り込むことで、話のリアリィテイーと重厚さを上手く描き出してあります。一時期沖縄に嵌った私。綺麗な海と空、そしてのどかな性格の人達。そんなj表面的な部分に癒されてましたが、この本を読むと沖縄の方がどれだけ大変な思いをしてきたか痛みと共に実感します。沖縄がアメリカだった時代(今も基地問題など解決してませんが)を知らない世代がどんどん増えてくる日本。歴史の事実を知っておく為にも読むべき一冊だと思います。

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