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2010年8月26日 (木)

大人の役割は生意気なガキの前に立ち塞がることなんだ(「オー!ファーザー」 伊坂幸太郎)

文句を言いながらもお客さんから借りると必ず読んでいる伊坂幸太郎「オー!ファーザー」を読みました。母一人・子一人に父親四人という珍しい家族が主人公です。母はそれ程登場しないので、タイトル通り四人の父親と一人息子の青春話です。伊坂さんを心底好きになれない理由は、毎回言いますが登場人物に熱が無さ過ぎること(熱いと言う意味でなく、体温を感じないと言う意味)です。しかしこの作品の登場人物はイキイキ人間らしく動き回っています。後書きにこうあります。「自分にとってターニングポイントになった作品」と。確かにこの後に「ゴールデンスランバー」「モダンタイムズ」という傑作に続くわけですからそうなでしょう。何が一番変わったかといえば、やはり作中の人物が自ら動いている感じがする点でしょう。今までの伊坂作品は良くも悪くも作者のコントロール通り動いていた感じでしたが、この作品からは作中の人物が作者の手を離れ自ら行動している感じがします。なので読んでいてワクワクします。自らの反省点を気づいたようなセリフを作中で言わせています。「情報量で人の優劣は決まらない。それよりもっと大事なのは勘のほうじゃないか」と。有り余る情報を文中にこれでもかと織り込む伊坂氏。それはそれで持ち味なんですが、やはり情報をはなれた人間本来の感情的な動きが、感動や驚きを読者に与える気がします。変わった伊坂作品。今後本当に楽しみです。

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