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2010年7月23日 (金)

リアリティーはあるが、物語としては今一(「オリンピックの身代金」 奥田英郎)

私が生まれる前に東京でオリンピックが開催されました。それ以降日本は「もはや戦後ではない」と言い続けてきましたが、普天間の問題なんかを考えると、未だ戦後引きずってますね。何もかも経済優先で急ぎすぎた結果ですね。でも日本にとっては重要なターニングポイントなったのは事実です。そんな歴史に残る東京オリンピックを舞台にしたミステリーを読みました。奥田英郎さんの「オリンピックの身代金」という一冊です。オリンピック関連の現場で兄が亡くなったと知らせを受けます。東大に入り何不住なく学生生活を送っていた主人公である弟は、兄の死の真相と戒めの為に兄が働いていた現場でひと夏を過します。その生活の中で、あまりにも理不尽な労働条件で働かされる労働者の実態に驚愕し、それを何とも思わない政府に違和感を覚えます。そこでオリンピックをネタに国から身代金をせしめる事を思いつきます。現場で入手したダイナマイトを駆使し、警察と公安を逆手に取りながら物語が進んでいきます。ラストは開会式が行われる国立競技場。ダイナマイトを持った主人公は、まんまと身代金八千万円を手に入れる事が出来るか?といった内容です。簡単に説明しましたが、現場の過酷な労働条件や、その当時の日本の状況が事細かく書かれています。この辺りは物凄くリアル感あります。しかしそこに中心をおきすぎて、物語が駄長になりすぎてるきがします。ラストも引っ張った割にはアッサリ物足りない。残念。でも奥田さんが久しぶりに社会派に戻ってきてくれた事は大歓迎です。日本の急激な復興の裏には、数多くの出稼ぎ労働者の苦労と死がある。それを知る為にも読まなければいけない一冊かもしれません。

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