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2010年7月30日 (金)

久しぶりにシリアスな荻原節(「千年樹」 荻原浩)

ハートフルで少し可笑しく、最後にはホロッと泣かさせる作風が持ち味の荻原浩さんの「千年樹」を読みました。ある楠の木の萌芽から伐採までの千年間の間に、その木の側で起こった様々な人間模様を、年代ごとに描いた連作短編集です。ただ木はそこにあり何かをするわけでは無いのですが、木の持つ霊力のようなモノに人間は翻弄されていきます。非常にシリアスで重タメの話です。私が記憶する限りでは映画化もされた若年性アルツハイマーの「明日の記憶」以来の重い話な気がします。「明日の記憶」の時にも書いたんですが、荻原さんはやはりシリアスが得意ではない気がします。決して読めないことはないし、軽く標準のレベルは超えているんですが、何か一味足りない。得意なハートフル作品には様々な味わいが沢山溢れているのにどうしてだろう?やはり根っから明るい人なんではないからだろうか?シリアスな話の苦しさや切なさが今ひとつ伝わってこないんです。素人が勝手なこと言いますが、やはり得意なハートフルな作品で今後も勝負してもらいたいですね。個人的にはそう望みます。

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