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2010年5月14日 (金)

生と性(「学問」 山田詠美)

ダカーポが選ぶ最高の本で昨年三位に入賞していた山田詠美嬢の「学問」を読みました。結構新しい本なのに、そして話題にもなっているののに既に100円。買う側としては嬉しいですが、少し申し訳ない気もします。さて折角安く手に入ったのですからチャンと読みます。山田嬢は私が大学生の時デビューしました。丁度自分がソウルミュージックを溺愛していた時期とも重なり、「ベットタイムアイズ」や「ソウルミュージック・ラバーズ・オンリー」(直木賞)には一遍に虜にされました。その勢いで他の作品も総て読んでいます。しかしある時期、読む作品が総て同じに感じだし読むのを止めたんです。あれから20年。再び山田嬢の作品と出会うのが昨年読んだ「風味絶佳」でした。昔読んでいた山田嬢の作品とは全く手触りが違い驚きました。谷崎潤一郎章を受賞している事からも分かるように、文章が飛躍的に綺麗になっている気がしました。その流れを受けて今回の「学問」を読んだ分けですが、今作も内容というよりは文章の味わいを感じる作品な気がします。主人公は四人の男女。中心となる少女が東京から田舎町に転校してくるところから物語が始まります。その四人の青春(臭い言い方ですが)を四章に渡って描いてあります。そしてそれぞれの章の始めに四人の晩年と死が記録として書かれています。ここがポイントです。青春と言う死など全く感じる事のない時代を描きながら、冒頭にそれぞれの最後のを挿入する。その事で若い時代の生と性がより輝いて感じる事が出来ます。いや~山田嬢がこんな作品を書く日が来るとは大学生の頃想いもしませんでした。机に座ってやる勉強とは違い、生きることで学ぶ学問は何て尊いのでしょう。今を生きる事の大切さを実感させてくれる一冊です。

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