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2010年5月13日 (木)

様々な仕掛けが散りばめられた作品(「絶望ノート」 歌野晶午)

歌野晶午さんの最新作「絶望ノート」を読みました。このところ連作短編みたいな作品が多かったので、久方ぶりの長編を読んだ気がします。物語の主人公は中学生の男の子。名前を照音(ショーン)と言います。変わった名前だなーと思ったら、これには分けがあります。仕事もせずに主夫をする父親はビートルズのジョン・レノンを崇拝する駄目親父。ヨーコという名前だけで母親と結婚し、実の子にジョン・レノンの息子と同じ名前を彼につけました。その上未だに長髪に丸サングラス、そして服装までジョン・レノンの格好をそのまま真似ています。そんな奇抜な父親を持つことで、苛められる主人公はある日から日記をつけます。そのタイトルが「絶望」。このノートを巡り起こる様々な事項や殺人事件を日記形式と、リアルな視点で交互に語られます。一章毎のサブタイトルは総てジョン・レノンの曲のタイトルとなっています。細かく書くとネタバレが沢山あるので書きませんが、全編通して大きな謎が隠され、更に細かい仕掛けが沢山散りばめられています。なので終盤に向かうほど初めの印象と物語はドンドン変わっていきます。世間的に余り話題にはなってないみたいですが、個人的には物凄く面白かったです。歌野さんの作品としては「世界の終わり、あるいは始まり」に近いかな?そこに出世作である「葉桜の季節に君を想うこと」の大ドンデン返しがプラスされた感じです。タイトルからも感じるように読み終わっても絶望感が残ります。その辺りが嫌いな人には評価は悪いのかもしれませんが、湊かなえさんの「告白」と同じような誰も救われていない感が大丈夫な人には絶賛されるのではないかと思われます。今年のベスト10候補の一冊です。

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