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2010年3月19日 (金)

悲しみなんて所詮、形なの無い物の名前(「WILL」 本多孝好)

本多孝好さんの最新作「WILL」を読みました。これもお客さんからの借り物です。感謝。今年に入って直ぐに読んだ「チェーン・ポイズン」がやけに良かったので、今作品もかなり期待大で読み始めました。主人公は両親を亡くし、仕方なく葬儀屋を継いだ女性です。あまり流行っていないその葬儀屋に持ち込まれる、一風変わった出来事を連作短編で綴ってあります。前作とは打って変わって、何時もの本多節の作品です。暖かくて透明で、何処か懐かしい感じのする物語達です。全く知らなかったんですが、この話は一応七年前に本多さんが出した「MOMENT」の続編だそうです。それも読んでいるはずなんですが(必ず読んでます)、何か今ひとつ記憶に残っていません。それはひとえに本多さんの作風にある気がします。良くも悪くも透明感が売りの文章は、様々なストーリーを書き上げても、その特質な文体の為、どれも似たような印象が残ってしまい、作品としては悪くないのにインパクトが残りにくいです。なので続編と言われても全くピンと来ません。読んでみれば分かるんですが、前作を読んでいなくても全く問題なく読む事が出来ます。感想としては可も無く不可も無く、何時もの本多さんでした。最後に印象に残った言葉を書いておきます。「悲しみに名前をつけたところで、そんなものは所詮形の無いものの名前です。人の胸の中には名前でくくれないものが色々あって、だからその表れ方にも色々あって、泣き叫びたいならそうすればいいし、そうできないなら無理にそうすることもないです」成る程な言葉です。悲しい場面で泣かないと冷たい人といわれる事がありますが、所詮名前の無いもの。その表現の仕方も様々でいいんです。笑いたい人は笑えばいいんです。それがその人にとっての表現方法なら、それをとがめる事は誰にも出来ないはずです。納得しました。

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