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2010年2月18日 (木)

想像を良い意味で裏切る展開(「贄の夜会」 香納諒一 )

2006年このミスて第7位に入賞していた香納諒一氏の「贄の夜会」を読みました。香納氏と言えば「幻の女」に代表されるガチガチのハードボイルドスタイルの日本の第一人者の一人という印象が強いですが、この小説は一風変わっています。大きなくくりではサイコサスペンスミステリーとなるのでしょうが、読み始めて直ぐに一筋縄ではいかない作品だと実感できます。過去に犯罪により身内を殺された人達が集う「被害者の会」に出ていた、全く面識の無い二人の女性が殺されます。一人は手首を切り取られ張り付けにされ、もう一人は頭を潰され。早速捜査が始まりますが、同時に被害者の夫が姿を消します。しかも指紋も形跡も何も残さずにです。普通の作品ならこの夫が犯人とんるんでしょうが、この作品はもう一ひねりしてあります。この謎の夫は犯人ではありません。しかし実は超一級の殺し屋で、身をごまかす為に正体を偽り結婚生活を送っていました。さて本筋のサイコ殺人の方なんですが、子供の頃に子供を殺し(サカキバラ事件に重ねてあります)ましたが、未成年だった為刑務所には入らず、社会復帰し今や弁護士となり、この「被害者の会」の顧問弁護士となっていた男が犯人として浮上しました。しかし完全なるアリバイが存在します。謎の夫・元猟奇殺人犯の弁護士、そしてその二人を執拗に追う型破りな刑事。この三人が物語の中心となって話はスピーディーに展開していきます。途中殺し屋のサイドストーリーや刑事の身内の話など複雑に絡み合っていきます。そしてラストには三者が絡み真犯人との怒涛の展開へと進んでいきます。あっという間の読了でした。ちょっと色々なエピソードを詰め込みすぎな感じはしますが、何とか破綻する事無く纏め上げています。それだけでも十分凄いと感じます。これは香納さんの新たなる代表作です。様々な書評で書かれていた事は全然大げさではありませんでした。満足のいく読了感でした。

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