« その緊張感、1時間57分(「その土曜日、7時58分」 シドニー・ルメット監督) | トップページ | 文句を言いながらも必ず読んでしまう作者(「Kの日々」 大沢在昌 ) »

2009年10月17日 (土)

リドルストーリーとは結末を書かない物語の事(「追想五断章」 米澤穂信 )

米澤穂信さんの最新作「追想五断章」を読みました。米澤さんの持ち味は最後のドンデン返しとそこはかとない読了後の暗さにあると思うのですが、今回の作品はどうでしょうか?ワクワクしながら読み出しました。主人公は不況から大学の学費が払えず休学し、叔父の経営する古本屋でアルバイトをしながら悶々とする日々を過しています。そのお店に偶然現れた女性から亡き父が生前に書いた五編の小説を探して欲しいと言う依頼を受けます。一つ見つけたら10万円という高額な謝礼に惹かれ独自に探偵のような作業を始めます。小さな手がかりを見つけては一冊ずつ掲載雑誌を見つけていくのですが、その見つけた総ての物語がリドルストーリーとなっています。私も今回初めて知ったんですが、リドルストーリーとは結末を書かない物語の事をを言うそうです。何故か依頼人が見つけた父のノートにはその書かれなかった結末の一行が記されているんです。怪しい香りがドンドン膨れ上がる中、22年前に依頼人の家族に起こった悲劇が浮き彫りになります。只の書物探しが、「アントワープの銃弾」と名づけられた実際に起こった母親の謎の死の真相へと次第に物語の確信は近づいていきます。果たして驚愕の結末とは?といった感じの内容ですが、何時もの作品に比べるとラストの驚愕度は薄いです。そして暗さは群を抜いています。今回は初めから最後まで掴み所の無い暗さがまとわりつきます。文中から察するに恐らくバブルの弾けた直後の混乱した日本が舞台ですが、古本屋と言う時の止まった店が設定だからか、主人公の覇気の無い性格からか何かもっと古い時代の印象を受けます。今までの米澤さんの作品からするとガチガチの王道の読量感でした。王道が嫌いな私には物足りない感じですが、依頼人の話と見せかけて最後は自分の物語へと繋がる辺りは流石だと思います。星二つかな?

|

« その緊張感、1時間57分(「その土曜日、7時58分」 シドニー・ルメット監督) | トップページ | 文句を言いながらも必ず読んでしまう作者(「Kの日々」 大沢在昌 ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: リドルストーリーとは結末を書かない物語の事(「追想五断章」 米澤穂信 ):

« その緊張感、1時間57分(「その土曜日、7時58分」 シドニー・ルメット監督) | トップページ | 文句を言いながらも必ず読んでしまう作者(「Kの日々」 大沢在昌 ) »