« 久しぶりにページをめくる手がとまらなくなりました(「ジウⅠ~Ⅲ」 誉田哲也 ) | トップページ | またまた新しい才能を発掘!(「For once in my life」 Soul Bossa Trio ) »

2009年8月 9日 (日)

SFやホラーの形を借りた哲学(「審判の日」 山本弘 )

傑作「神は沈黙せず」の作者山本弘さんの短編集「審判の日」を読みました。「神は沈黙せず」は、もうここ十年の中でも最高傑作の一冊にあげてる位の出来栄えだったので、その直後に出たこの短編集も期待大で読み出しました。(闇が落ちる前に、もう一度)(屋上にいるもの)(数分前の地獄)(夜の顔)(審判の日)の五作品が収められてますが、SF系とホラー系が交互に収められています。流石に短編なので「神は沈黙せず」程のインパクトはありませんが、短い話の中に山本氏ならではの哲学が散りばめられています。(夜の顔)には世界や人類の存在の意義についてこう語ります。(世界に意味なんてない。俺達の存在にも理由なんかない。意味や目的や法則があるのかように思うのは幻想なんだ。人間は真実を認めるのが恐ろしいものだから、宗教とか哲学とか芸術とかを創造して、それを隠蔽している)。また表題作(審判の日)ではこうも語ってます。(人間はね人生の中で色んな選択をしなきゃならないのよ。迷路の中を歩いているみたいに、どこかの角をひとつ曲がったり、曲がらなかったりするだけで、ぜんぜん違う方向に進んでしまうの。迷路と違うのは後戻りが出来ないってことね。だから一度自分の選んだ道は進み続けるしかないのよ。どんなに苦しくてもね)と。人生に目的など無いと言いながらも、人の生き方を語るなんて、一見矛盾しているように思えるんですが、全く違和感無く受け入れる事が出来ます。これはやはり長年(と学会)で、不思議な存在を信じながらも、とんでもない本を批判してきた姿勢から来るもんなんでしょう。「神は沈黙せず」には及びませんが、平均点はクリアーしている短編集でした。何か生き方を考え直させる一冊でした。

|

« 久しぶりにページをめくる手がとまらなくなりました(「ジウⅠ~Ⅲ」 誉田哲也 ) | トップページ | またまた新しい才能を発掘!(「For once in my life」 Soul Bossa Trio ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: SFやホラーの形を借りた哲学(「審判の日」 山本弘 ):

« 久しぶりにページをめくる手がとまらなくなりました(「ジウⅠ~Ⅲ」 誉田哲也 ) | トップページ | またまた新しい才能を発掘!(「For once in my life」 Soul Bossa Trio ) »