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2009年8月30日 (日)

想い出は美しすぎて(「さよなら、愛しい人」 村上春樹訳)

「1Q84」が素晴らしかった村上春樹氏ですが、本の発売の少し前に村上氏が尊敬して止まないハードボイルド作家レイモンド・チャンドラーの村上氏訳「さよなら、愛しい人」を発売していました。1940年に発売された原題が「Farewell,My Lovely」で、1956年に日本で初めて発売された時の清水俊二氏訳のタイトルが「さらば、愛しき女よ」でした。もう50年以上も清水氏の訳が定番だったチャンドラーシリーズですが、前作の「ロング・グッドバイ」に次いで二作目の村上春樹訳です。私自身この作品を読むのは高校の頃以来なので、正直印象が物凄く残っている訳ではない状態で、久方ぶりに読んでみました。正直第一印象は「こんなツマラナイ話だったけ」という印象でした。物語が古いのはいたしかたないにしても、何かテンポが悪いし、話が唐突に感じる部分が多すぎる気がしたんです。これは村上氏の訳が悪いのか?前作の「ロング・グッドバイ」の時に村上氏が言ってましたが、今回のこの新訳は以前の訳ではカットされていた部分まで総て原作に忠実に訳するという話だったので、村上氏はそのまま訳しただけだと思います。そう考えると清水氏の良い意味で端折った訳の方が贅肉が削ぎ落とされていてリズム感が良かったんだと思います。初めて読んだ時にはただただカッコいい印象だけが先走りましたが、大人になってジックリ読み込むと、チャンドラー自身長編二作目という事で、まだ完成形でなく稚拙に感じる部分が目に付きました。それを残念と思うのでなく、天才チャンドラーも同じ人間なんだなーと親近感を感じられて何だか良かったです。最後にハードボイルド小説ならではの表現が記憶に残りましたので書いておきます。「埃と煙草の匂い、それは男達の送る暮らしの匂いであり、男達が生き続ける世界の匂いだ」今じゃ考えられない程古くて時代錯誤な言葉ですが、この言葉こそハードボイルドを愛する人達にとって堪らない言葉であることは紛れも無い事実です。

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