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2009年8月 1日 (土)

本当の正義とは何か?(「正義のミカタ」 本多好孝 )

(正義)とは一体何だろう?私が子供の頃毎日のように観ていたヒーローモノのTV番組は、分かりやすい悪役が登場し正義のヒーローが制裁を加えると言う物語が殆どです。しかも今から考えれば全部殺していたんですよね。それって改めて考えるとゾーッとしますね。しかし誰もがそれが当たり前と信じ大人になりました。その理論が正しいとすれば戦争も正義となる事があります。テロ国家に対する報復戦争は(正義)という事になります。アメリカの理論は正に(正義)です。何故そんな話をするかと言うと、本多孝好さんの久しぶりの長編「正義のミカタ」を読んで不意に色んな事が想い浮かんだんです。タイトルから分かるようにこの本は(正義の味方)とは何ぞや?というのを問う本となっています。高校時代までいじめられっ子として暗い青春時代を過した主人公は、明るい未来を求めて大学に入学します。しかしそこにも苛めっ子が!また暗澹たる四年間を過すのかと思っていたら、一人の同級生に助けられます。そして何も分からないままにあるサークルに連れて行かれます。そのサークルこそ伝説の(正義の味方)サークルでした。大学内で起こる様々なトラブル(喧嘩などの軽いものからセクハラや急性アル中防止などまで)を、極秘裏に調査し制裁を加えると言うサークルでした。力も頭脳もない主人公ですが何故かこのサークルに入る事になります。そこから彼の人生は好転しだします。日々のトレーニングでボクシングも少し憶え、気に入った女子とも何だか良い感じです。あーこのままバラ色の大学生活が訪れるんだろうと思っていたら、とあるサークルへの潜入捜査を命じられます。そこで出会った人達、そしてその人達が起こした事件によって彼の考え方は一変します。正義とは一つと思ってた自分を悩み。決して許される事ではないですが、悪には悪の理論がある事。経験した事ない事実を抱え込み主人公は一つの結論を出します。その結論は正しいのか間違っているか?その辺りは読み手の感覚でずいぶん変わると思います。主人公に同調できるか出来ないかで読量感がかわる一冊だと思います。私は主人公に同調できました。しかしこの考え方が余りにも理想的で青臭い事もちゃんと分かった上での同調です。読んでない人には何のことやらの話になりますが、理想だけでは何ともならないのが現実の世界ですが、それでも理想を忘れてはいけないです。でないと総てが一方的な正義の為に世の中が動いてしまう恐れがあるからです(正に少し前のアメリカ)。何か非常に難解でややこしい話をしてますが、小説自体は読みやすく万人向けなのでご安心下さい。最後に印象に残った言葉を書いておきます。(豊かさはそこまで行き着いちゃったのさ。その先にはどんな欲求が生まれるのか。他人の満足を否定したくなるだよ。)愚かしい人間の行為を言い当ててますね。非常に考えさせられる一冊でした。

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