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2009年7月 5日 (日)

テーマが古すぎ(「プロメテウスの涙」 乾ルカ )

約束通り本日は昨日紹介した乾ルカさんの二作目にして初長編作「プロメテウスの涙」という作品を紹介します。デビュー作「夏光」にはキラリと光る才能を感じさせる何かがあったので、この初の長編は物凄く期待感大で読み始めました。物語の舞台は日本とアメリカで同時進行で進んで生きます。日本では心療内科を経営する女医の元に、原因不明の発作に悩まされる少女が母親と共に訪れます。体を硬直させ奇妙な声で呪文らしきものをつぶやき、最後に手を何かの形にして突っ張るという発作を日々繰り返しています。今までのどんな症状にも当てはまらず、病院を何件も転々として主人公の病院に流れ着きました。一方アメリカでは何をしても死なない死刑囚が存在します。何度も様々な方法で死刑執行しても死なず、目と脳だけは生きている状態で、体の総てが癌細胞に侵された様な体でも生きています。死臭を撒き散らし、口からは蛆虫を吐き出し、爪は少し触れば剥がれてしまう状態でも生き続けています。薬物を注入したり、心臓を突いても死なないんです。この一見何も関係の無い二つの事柄が徐々にリンクしていきます。少女の発作の原因が何とこの死なない死刑囚にあったんです!何といささか唐突!さてその謎は?といった感じの内容です。素直な感想は、一昔前に流行った医学ホラーといった感じでしょうか?パラサイト・イヴによってブームが巻き起こった医学の専門知識を下地にしたホラー小説です。西洋医学と言う現在における絶対的なモノと、非科学的な心霊や因果を絡めるという手法はそれ以来一体どれだけの類似作品を産み出した事でしょう。正直満腹な状態です。何故今更こんな作風なのか疑問だけが残ります。デビュー作「夏光」にあった純文学風な作風は影を潜め、完全なるエンターテイメント作品となりました。乾さんの持ち味はそこじゃないだろう!編集についてる人間が言ってあげないと駄目じゃない!と思わず業界の人物の様な事まで考えてしまいます。良い言い方をすれば万人向けでTV化・映画化向きなんですが、何の新しさも感じません。残念。未だ二作目なので完璧さなど全く求めていないのですが、他には無い自分らしさを今後追求して欲しいものです。次作に期待!

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