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2009年6月14日 (日)

死ぬことの意味(「栄光なき凱旋」 真保祐一 )

昨夜ほろ酔い気分で仕事から帰ってきたら何気につけたTVから衝撃のNEWSが流れてきました。プロレスラーの三沢光晴がバックドロップを受けて死んだと。三沢氏が死んだ事も衝撃だったんですが、その死因がTV中継も無い何でもない試合のバックドロップなんて!余りにも皮肉です。今まで(下手したら)練習を入れれば何千も受けてきたバックドロップで最後を迎える。この死は生き残った人達に何か意味を残すのだろうか?無念です。丁度読み終わった本があります。真保祐一さんの「栄光なき凱旋」という本です。この本は日系人の視点から描いた真珠湾攻撃からの第二次世界大戦を描いています。主要な登場人物は日系人の三人の若者。日系人として窮屈ながらもハワイで夢を持って生きてきたのですが、日本の真珠湾攻撃で状況がガラッと変わります。職がなくなり家を追い出され収容所に押し込まれます。この状況を打破するためにはアメリカに忠誠を誓い戦争に参加すること。それぞれが様々な想いを持って最前線に向かいます。そしてそこでも吹き荒れる人種差別の嵐。自らはアメリカ人という自覚があっても、周りからは憎き日本人のスパイのような扱いを受け続ける日々。そして親戚や祖父が居る日本を攻撃しなければいけないという苦悩。この小説は今まで語られることの無かった日系人の戦争を詳細に描いてありました。前に垣根涼介さんの傑作「ワイルドソウル」を読んだときに、ブラジル移民の過酷な歴史を初めて知り衝撃を受けたんですが、今回も全く知らなかった日系人の戦争の歴史を知り唖然としました。日系人の若者の多くは自らの死に意味を見出し戦場に散っていった。あの時は死ぬことは日系人という中途半端な存在をアメリカに認めさせる為に自ら戦場で死んでいったんです。彼らの死が今の日系人の未来を作ったんです。物語のサブストーリーに戦争の英雄が戦争前に犯してしまった殺人事件で戦後裁かれるという事柄が出てきます。戦場で何百人も殺した事で英雄になった男が、一人の殺人事件で裁かれる矛盾。この辺りは真保さん上手いです。しかし全体通して小説としては面白みにかける気がします。ドキュメンタリーとして読むにはいいんですが、小説としてはワクワクやドキドキが無かったです。残念。三沢氏の死も何か意味があるんだと思います。時間が経ってジンワリと浮かびあがってくると思います。合掌。

        

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受信: 2009年6月14日 (日) 18時04分

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