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2009年6月28日 (日)

つながっていく理由は、たった一つしかない(「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」 大崎善生)

年間100冊以上本を読みますが、恋愛小説などという分野の本は殆ど読みません。しかし大崎善生さんの本だけは読んでしまいます。何故だろう?一つは文章の美しさにあるとは思いますが、やはりどの物語ににも幸せと背中合わせに孤独が漂ってるからだと思います。別の言い方をすればどんなに愛し合っていても所詮他人であるという点を必ず入れ込んでいる点です。だからと言って大崎氏の描く恋愛が冷め切っているという訳ではなく、だからこそ一瞬だけは物凄く熱を持つのを繊細に描いています。久方ぶりに読んだのが「ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶」という一冊です。四編の短編が収められいますが、それぞれの詳しい話は野暮なので省きますが、読了後の感想は久方ぶりに大崎節に溢れていて大満足の一冊でした。短編だけで言えば「孤独か、それに等しいもの」と同レベルの出来栄えの感じです。相変わらず出て来る登場人物たちは一風変わってます。その人物達の出会いと別れ、喪失と再生をテーマに丹念に紡いであります。今回も唸らされた言葉の数々があります。(男と女が別れていく理由はこの世には掃いて捨てる程ある(中略)つながっていく理由は、たったひとつしかないのに)とか、(涙は何も解決しないけど、流すたびに少しずつ自分を変えてゆく)などの表現には読んでいて息を呑むほどハッとさせられます。もう10冊以上大崎氏の本を読んでいますが、著者の写真を一度も見たことがありません。こんな繊細な文章を書ける人物は一体どんな人なんだろう?気になって仕方ありません。大崎氏の本は毎回読むのではなく味わうという印象を感じさせてくれます。今回もじっくりいとおしむ様に味わいました。最後にもう一つ印象に残った言葉を書いておきます。(サヨナラの速度には気をつけるのよ。人それぞれに別れには速度がある。そのスピードを上手く合わせなければ、体を引き千切られてしまうわよ)喪失による理由を正に言い当てた言葉だと思います。

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受信: 2009年6月28日 (日) 12時50分

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