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2009年6月20日 (土)

少しの孤独は心地よい(「荒野」 桜庭一樹 )

「赤朽葉家の伝説」で初めて出会い、「ファミリー・ポートレイト」で一気に大好きな作家になった桜庭一樹さんの「荒野」を読みました。元々ライトノベル出身と聞いていたんですが、この本もそのライトノベル時代の本を加筆して出版したそうです。前作が「私の男」で直木賞を受賞しているので多少便乗商売の香りのする出版の仕方です。主人公は(荒野)という名前を持つ少女、恋愛小説家という職業を持つ父と暮らしています。職業柄か父はとっかえひっかえ女性と付き合っています。お手伝いさんとして初めに登場する女性も後々には愛人だったと分かったりします。そんな普通ではない家庭で育つ少女の12歳から16歳までを透明な文体で描いてあります。父親が小説家という設定は「ファミリー・ポートレイト」と同じです。桜庭氏は何かその辺りにこだわりがあるのでしょうか?もしくは憧れなんでしょうか?必ず何か意味がある気がします。ライトノベルなので最近の桜庭作品からファンになった人には物足りないとは思いますが、端々に描かれる文章表現は本当に素晴らしい!(昼間なのに薄暗い縁側に飛び込むと、日陰のさびしい匂いが急に鼻にまとわりついた)とか、(夕日は見えない手で引っぱられているように、見る間に家々の陰に沈んでいこうとしている)などの情景を表現した文章は本当に素晴らしいです。この辺りは流石です。同じ様に女学生を主人公にした三浦しおんさんの「秘密の花園」と似た感じがあるんですが、三浦さんが少し粘膜感があるのに対して、桜庭氏の方はサラッとしています。先ほども言いましたが多少便乗商売の香りはしますが、これはこれでありだと思います。少女の成長物語なんぞ今までに一体何百作品書かれてきた事でしょうか?それでも桜庭色があるのは流石だと感じました。最後に少女が大人になっていく印象的な言葉を書いておきます。(これまで見えなかったことが、これからどんどん分かるようになって、何も怖くなくなる。そうやって大人になっていくのだ)大人になると言うのは、見えなかったり分からなかった事がなくなり、ドキドキ・ワクワク感も同時になくしてしまう事だと教えてくれます。やはり桜庭さん好きです。「私の男」いよいよ早く読みたくて仕方なくなってきました。 

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