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2009年5月24日 (日)

医療小説の体をとっているが普通の小説(「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラル・ルージュの凱旋」 海堂尊 )

デビュー作「チーム・バチスタの栄光」で大ブレイクをした海堂尊さんのシリーズ続編「ナイチンゲールの沈黙」を読みました。正直バチスタは世間が騒ぐのが良く分からない程の印象しかなかったので、続編にもそれ程興味は無かったんですが、友人が貸してくれたので読んだ次第です。物語の主な主人公は看護婦と目の摘出の手術を控えた少年。そして酒乱でどうしようもない少年の父親。その父親が何ものかに殺されます。しかも見事に解体された状態だったところから、犯人は病院関係者では?といった展開で話が進んでいきます。王道の物語に何故か奇跡の声を持つ歌手のサイドストーリーも絡んできます。割とサクッと読了。前作よりは面白かった気がしますが、何故か消化不良。と思っていたら実はこの物語は二冊で一つの話に完結すると知り、早速「ジェネエラル・ルージュの凱旋」を読みました。初めからこれを設定して考えたのかどうか分かりませんが、ナイチンゲールの物語が進んでいる同時期に病院内ではER部門の不正な裏金問題が発覚します。その真相を解明するのを医院長から指名されたのが、シリーズの主人公田口(ナイチンゲールでもちゃんと出てきますが、それ程活躍はしてません)。そこに厚生省の白鳥が今回も絶妙にチャチャを入れながら真実をしていきます。流石に何作も書いてきただけあって、表現力や筆力は俄然上がっています。デビュー作に続いて映画化も決定と、飛ぶ鳥落とす勢いです。しかしそれ程騒ぐ作品とは決して思いません。普通の小説です。デビュー作こそ心臓手術を軸にした病院小説といった感じはありましたが、この二作に関してはそれ程病院小説という感じはしません。たまたま病院が舞台だったという感じです。登場する魑魅魍魎な癖のある人達との理論合戦とでも言いましょうか?知らないことを知れるという楽しみはありますが、やはり理系の人が書く小説という感じがします。理路整然としていて凄いんですが、そこに滲み出る文章の色香は殆ど感じません。辛口ですが、海堂さんの持ち味はそこにあるんだから何の問題もないです。後は読み手が好きか嫌いか判断するだけの事ですから・・。最後に印象に残った言葉を一つ。「知らなかったのか?神の影は悪魔の形をしているんだ」

 

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