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2009年5月10日 (日)

横溝正史の正統的ホロワー(「厭魅の如き憑くもの」 三津田信三 )

私が子供の頃にTVでよく見ていたシリーズに江戸川乱歩と横溝正史のドラマがありました。両方とも決して妖怪や幽霊が出てくるわけではないのですが、閉鎖的な山村や怪しい洋館、そしてそこに蠢く奇妙な登場人物達に背筋が寒くなる思いを何度もしたものです。昨日読了した三津田信三(みつた・しんぞう)さんの「厭魅の如き憑くもの」を読んで不意にそんな昔の記憶が蘇りました。(厭魅・えんま)と書いて(まじもの)と読みます。そのタイトルが示す通り、作品の最初から最後まで得体の知れない(厭魅)が読者の脳にまとわりつきます。決して危害を加えるほどの存在ではないのですが、何処からか常に見られている嫌な視線を感じながらの読書となります。物語の舞台は昔から(憑き物落とし)や(神隠し)が頻繁に起こる閉鎖された山奥の村。主人公は怪異作家の刀城言耶という人物です。彼が目撃者であり探偵役を務める訳ですが、これが実に頼りない。物語の途中から案山子に見立てた連続殺人が起こるのですが、その犯人を指摘する為に村人を一同に集めて謎解きを披露するのですが、何度も理論破綻を指摘され、結局四人ほどの容疑者(犯人)の名前を挙げる始末。これじゃ名探偵ではなく(迷)探偵です。もちろんこの辺りは作者の策略なんでしょうが、ミステリー好きと公言しながら謎解きメインのミステリーがあまり好きでない私には苦痛の一言でした。故に犯人が分かった爽快感や完璧な理論に裏打ちされた謎解きもの分かった感も薄いです。同じような昭和初期の日本を舞台にした京極夏彦さんの作品と比べるとワンランク落ちます。加えて文章が読みにくい!まーこの辺りは京極さんの作品も初めは読みにくくてしょうがなかった事を思えば、だんだん腕が上がっていくんでしょうが・・。辛口評価しましたが、以前読んだ三津田さんの作品「禍家」「死相学探偵」よりは格段に面白いです。先にも言いましたが全体を覆う禍々しいオーラは横溝正史作品に通じる良さがあります。この空気感だけでも十分楽しめます。この後この刀城言耶探偵はシーリーズ化されていて、評価もぐんぐん上がっています(このミスにも入賞してます)。今後の作品を読むのが楽しみです。余談ですが、表紙デザインは抜群に良いです!

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