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2009年4月19日 (日)

様々な角度から強い女性を描く作者(「ミスティー・レイン」 柴田よしき )

柴田よしきさんという女性作家は非常に多作な人です。1995年にデビューしてから既に50作品以上を発表している。これは凄い事だと思います。まーこれだけ作品を書くのですから総ての作品が重厚な作品ではありません(当然です)。なので大きく分けるとデビュー作であり人気シリーズである刑事RIKOシリーズや傑作「聖なる黒夜」などの胸が切り裂かれる程の濃厚な物語群とOLや普通の主婦が主人公の割と軽いタッチの作風に分けられると思います(その他にも奇伝やホラーもあります)。どちらも彼女の持ち味ですが、どちらの作品にもある意味強い女性又は強く変っていく女性が描かれて居ることが多いです。なので男性読者は少なく、女性に圧倒的に支持されている作家さんだと思います。そう思って侮っていると男性作家でも中々書けないだろう「聖なる黒夜」レベルの凄い話を書き上げたりしますから本と多才な作家さんです。さてそんな柴田よしきさんの「ミスティー・レイン」を読みました。上司との不倫に疲れ一度に恋も仕事も失い生きる目的を無くしていた主人公は、ふとしたキッカケで売り出し中のアイドルのマネージャーになる事になります。全くの知識の無い芸能界で彼女は揉まれ傷つき成長し自立していく物語です。途中二つの殺人事件が組み込まれて、ミステリー色も追い込んでありますが、個人的にはそれ程必要なかった気がします。主人公の再生と自立の物語、そして普段は中々知る事が出来ない芸能界の裏側の二本柱で充分楽しませてくれます。先にも言いましたが濃厚な作品ではないのでサクッと読めますが、本当に柴田氏は強くなっていく女性を描かせたら上手いです。読了後は何時も清清しい勇気を貰えます。勿論女性が読んだ方が共感は大きいと思いますが、男性読者にも読んで貰いたい稀有な作家さんだと思います。安定は抜群だと思います。最後に芸能マネジャーの仕事を言い当てたセリフでもありタイトルの由来にもなったであろう名言を書いておきます。「マネージャーというのは傘では駄目だ!自分の担当のタレントの体にピッタリと貼り付いて、雨や風をよけるレインコートにならないと」マネージャーと芸能人が時に恋仲になるのは、正にこういった事からなんでしょう。

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