« 彼女の前では誰でも裸になる(「アニー・リーボヴイッツ~レンズの向こうの人生」) | トップページ | 様々な角度から強い女性を描く作者(「ミスティー・レイン」 柴田よしき ) »

2009年4月18日 (土)

今の時代ハードボイルドを書く者も読む者も愚か者(「愛こそすべて、と愚か者は言った」 沢木冬吾 )

バブルの頃からだろうか?女性が求める理想の男性像は優しくて面白い男性に変って行った。昔は強くて無口でというのが男の代名詞だったのに、この数十年で世の中も変りました。思い起こせば沢田研二が歌の中で「ボギーあんたの時代は良かった。男がピカピカのキザでいられた」と唄った時から時代は変化しつつあったのかもしれません。あれから30年程経ってますから、今の時代ハードボイルド的な小説&生き方は歴史の中で辛うじて生き残っている遺物な状態です。そんなハードボイルド受難時代にも果敢にもハードボイルド小説を書きつづける人は少ないですが存在します。1999年にデビューした沢木冬吾さんもその一人だそうです。だそうですという仮定の言い方をするのは今回始めてデビュー作を読んだからです。第三回新潮ミステリー倶楽部賞 高見浩特別賞受賞作にしてデビュー作「愛こそすべて、と愚か者は言った」を読みました。沢木さんは前から気になっていたんですが今回要約読むことが出来ました。ほぼ10年前の本ですが、古臭さは感じませんでした。ハードボイルド小説自体が既に過去のに完成形なので今更古いも新しいもないですが・・・。細かい内容はあえて書きませんが、7年前に別れた自分の息子の誘拐から始まり、その裏に隠された謎が次から次へと発覚する展開です。物語としてのミステリー色も強いですが、根本にあるのはタイトルにあるように息子と主人公の愛にある気がします。心を開かない息子に対して不器用な接し方しか出来ない主人公の姿は、まるで自分の姿を見るようで歯がゆいです(子供持った事は無いんですが、多分苦手だと思うから感情移入してしまいました)。何処か昔読んだロバート・B・パーカーの「初秋」を思わせる感じでした。傑作とは言いませんが、今の時代にハードボイルドを書く愚か者の作品を読む愚か者にとっては満足の行く一冊でした。最後に印象に残った言葉を書いておきます。「母親は子を産んだ瞬間から母親だが、男親は違う。努力してそうなっていくんだ」間違い無いセリフですね。

|

« 彼女の前では誰でも裸になる(「アニー・リーボヴイッツ~レンズの向こうの人生」) | トップページ | 様々な角度から強い女性を描く作者(「ミスティー・レイン」 柴田よしき ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今の時代ハードボイルドを書く者も読む者も愚か者(「愛こそすべて、と愚か者は言った」 沢木冬吾 ):

« 彼女の前では誰でも裸になる(「アニー・リーボヴイッツ~レンズの向こうの人生」) | トップページ | 様々な角度から強い女性を描く作者(「ミスティー・レイン」 柴田よしき ) »