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2009年3月28日 (土)

作家は職業でなく、生き方だ!(「ファミリーポートレイト」 桜庭一樹)

第138回直木賞を「私の男」で受賞して今乗りに乗っている作家桜庭一樹さんの最新作「ファミリーポートレイト」をたった今読了しました。何だろうこの虚脱感は・・・。生きる事はこんなにも辛くて大変で、そして輝いている。色んな事から眼を背けて生きている自分に正面から現実を叩き付けられた衝撃を感じてます。昨年の私の読書ベストテンの中に「赤朽葉家の人々」があったので、何となく軽い気持でこの本を読みだしたのですが途中から息をするのも辛いほど主人公の世界観にはまり込んでしまいました。物語は二部構成となってます。一部は四才の主人公コマコとその母マコの逃避行の物語。不倫の子として生まれ、更に殺人まで犯してしまって逃げる生き方しか出来なくなった母親に引き摺られるように日本全国を逃亡します。たどり着く各地の底辺のような生活の中で様々な経験をし少しずつ成長していきます。追っ手が迫り母親が自殺し突如逃亡生活の一部は終わります。ここまでは何か赤朽葉家の重たい版の様な感じです。驚かされるの二部に入ってからです。同じ作品か?と疑うほど作風が変わります。子供だったコマコは実の親に引き取られ(何と不倫相手の父親は有名な作家でした)、自堕落な生活を送りつづけます。友達も家族も居なかった逃亡生活時代の唯一の楽しみは本を読むことだけだったマコは、ここでも四六時中本の世界にはまり込みます。そんな生活をしていた事と血からか何時の間にか文壇バーで働き、自然に自分も作家の世界に入りこみます。この後半部分が本当に凄い!物語自体は何でも無い話なんですが、彼女の内面の独白の様な言葉が溢れ出るように紡がれます。時に世界の真実を射止め、時に何の意味合いを持たない言葉を吐き出し、それら総てが彼女の物語の一部として語り続けられます。まるでセルフポートレイトです。ハードボイルド小説の名言で「探偵は職業でなくて、生き方だ!」という言葉がありますが、この小説を読むと「小説家とは職業でなくて、生き方だ!」という言葉がふっと頭に浮かびました。これは本当に小説なんだろうか?桜庭さんの自叙伝のように思えて仕方ありません!勿論総てが作り物である事はないでしょう。書いて行く内に自分の中から溢れ出た真実も必ず小説には入り込んでるはずですから・・・。それにしても凄い作品でした。今年度今のところ暫定1位です。先日読んだ花村萬月の「浄夜」といいこの作品といい、作家という生き方は本当に壮絶だという事を思い知らされます。結果的に自分の苦しみを小説に書き続ける事により楽になるしかないんだろうなー。職業作家が殆どの現在、生き方=作家となる稀有な存在です。桜庭一樹想像以上に恐ろしい作家さんでした。とてもライトノベル作家だったとは思えません!こうなると早く「私の男」読んでみたくて仕方ありません!だれか貸してください。

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