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2009年3月 8日 (日)

身内の冷たさ。他人の優しさ。(「逃避行」 篠田節子 )

読了後なんか考えさせられる本があります。小説としての出来栄え云々よりも心の片隅に何となく違和感を残す小説があります。昨夜読了した篠田節子さんの「逃避行」という小説は何かモヤモヤしたシコリみたいな物を残した一冊でした。主人公は50代の主婦。長い主婦生活の中で夫とも成人した二人の娘とも距離感が出来、唯一の心の支えが愛犬のゴールデンレトリバーだけです。しかしある日その愛犬が隣の家の子供をかみ殺します。こちらに落ち度が全く無いにも関わらず、マスコミは愛犬と主婦を悪者に祭り上げ、直ぐにでも保健所で処分しろとけしかけます。唯一の身内である家族でさえ守ろうとしてくれません。そして主人公は愛犬との逃避行を決意します。車の免許も就職さえした事の無い主人公は逃げる当ても無く彷徨うのですが、トッラックの運ちゃんや親切な人々に助けられある山奥の一軒家に終の棲家を見つけます。そこで一人と一匹の生活が始まり、このまま終わりを向かえるんですが、終わりに一捻りしてあります。そのエンディングには流石篠田氏と唸らされます。しかしkの物語はそういった小説的な技法より一人の主婦をとりまく周りの人間関係が重要です。一番味方になってくれる筈の身内の冷たさに愕然とし、全く見ず知らずの人の無償の優しさに心震えます。夫婦とは?家庭とは?人生とは?と何処にでも居そうな主婦の気持を代弁するかのような物語です。主婦向けの雑誌「女性自身」に連載されただけあって熟年主婦が読んだら身につまされる内容だと思います。篠田氏といえば「聖域」「ゴサインタン」「弥勒」などの宗教色の強い作品がイメージあるのですが、この作品はもう少しテーマを身近にしてはあるものの、(救い)がテーマの部分は同じだと感じました。主婦でも犬も子供も居ない私ですが、完全に主人公の主婦目線で物語のはまり込んでしまいました、。結構佳作だと思うのですが全く話題にならなかったのが不思議です。とりあえず主婦の方は読んでみて下さい。心に何か残るのは間違いにないですよ!

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受信: 2009年3月 8日 (日) 12時11分

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