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2009年2月15日 (日)

実に面白くない!(「聖女の救済」 東野圭吾 )

東野圭吾の本の売れ行きがとんでもない事になっているそうだ。ここ数年人気作家でしたが、ガリレオシリーズのお蔭でその人気も倍増し売れないと嘆いている活字業界の中で飛ぶように本が売れているそうだ。昨年そのガリレオシリーズの最新作で短編集と長編集を同時発売し話題になりました。今回その最新長編の方である「聖女の救済」をお借りして読みました。貸してくれた方曰く「直ぐに買いに行ったのに、初版本が変えなかった」と。これは凄い事です。さて直木賞受賞作である前作「容疑者Xの献身」以来のガリレオの長編ですが、今回のテーマは(完全犯罪)です。読者は間違いなく犯人が誰か分かった状況で話が進んでいきます。その上で文中の刑事やガリレオ博士と共にトリックを見破っていくと言う、ある意味王道のミステリー仕立てとなっています。逆に言うと初めに大きなトリックを思いついたので、そこに向って物語が書き進められた感じです。あまり謎解き要素の強いミステリーは普段読まないのですが、流石勢いのある東野さんです。非常に読みやすく飽きさせる事無く一気読み出来ました。しかし東野氏の持ち味である人間描写は今回は薄いので、重厚さにはかなり欠けるので、昔からの東野ファンには物足りないと思います。ガリレオ以降のファンには満足行く内容だと思います。考えてみれば総ての本が重厚である必要は無く、逆に読み易さだけを求めて居る人も沢山居る筈で、活字離れの進んだ現代には正にこういった作品が求められているのかもしれません。正に万人向けの娯楽作品の王様だと思います。難しい事を除けば非常に楽しく読めた一冊ですが、一つだけ非常に面白くない事があります。(反感買いそうですが)TVドラマのせいで、読んでると福山雅治柴崎コウの二人の顔がちらついて仕方ありません(以前のシリーズはTV化前だったので大丈夫だったんですが)。それを望んでいる人も居るんでしょうが、想像力が限定される読書程ツマラナイものはないので、個人的には残念でした。でもいくら私が不満を言ってもこの売れ行きを見せ付けられると参りましたと言わざるを得ないですね。

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» 流星の絆【東野圭吾】 [本・月のうさぎ堂]
ドラマは見なくてもこれを読めば、東野圭吾の世界がわかります。功一、泰輔、静奈の3兄妹、はたして復讐劇の結末とは? [続きを読む]

受信: 2009年2月18日 (水) 00時25分

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