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2009年2月 7日 (土)

ファンはガッカリ。私はニンマリ(「終末のフール」 伊坂幸太郎)

ここに来て再び勢いが凄い作家さんが伊坂幸太郎さんです。一時期出す作品総てが好評価でこのミスでも総てが入賞という時代がありました。しかしその後は少し失速気味で、内容的にも今一つで私個人の評価も下がってた気がします。その時代が頂点だったのか?と思い出した頃、再び波がやってきているみたいです(「ゴールデン・スランバー」や「モダンタイムス」は凄いらしい。未読です)。何が変わったんでしょうか?そんな疑問がある中「終末のフール」という作品を読みました。もう二年も前の話を今更と思うかもしれませんが、私にとってはこれが最新作です。さて物語りは一時期ハリウッド映画で流行った隕石が地球に落ちてくるという設定です。後三年で地球が滅ぶと分かったらあなたならどう生きますか?というのがテーマで、様々な人達の人生を短編で描いて居ます。普通の作家さんなら泣かす事に全力を注いだりするもんなんでしょうが、そこは伊坂氏。彼ならではの絶妙な距離感で物語を紡いでいきます。最近伊坂作品を酷評してきた私ですが、その理由の一つに主人公の熱の無さがあります。今回も普通の作家に比べれば熱は少ないんでしょうが、以前に比べれば人間らしい人達が登場します。おー伊坂氏変わった!と勝手に思ったのは私だけでしょうか?この変化は個人的には大歓迎ですが、逆にコアなファンの人達には評判芳しくないみたいです。でも王道があっての変化球なので、こういった作品が書けてなんぼな気がします。別段物凄く新しい内容ではないですし、伊坂氏の持ち味である映画的な時間軸も今回はありません。地味です。でも個人的には近年では一番出来がいいきがします。只続けて読むのは少しツマラナイかもしれません。その点を除けばかなり好きな作品です。話題の新作達を今から読むのが楽しみで仕方ありません!最後に亡くなった読書家の父を語る娘のセリフを書いておきます。「小説を読んでいると時折、自分の胸を衝かれるような苦痛や毛布をかけられるような優しさを感じる事があった。きっとお父さんはそういう感覚を、とても強く感じとる性質があったのかもしれない」本好きの特質をズバリ言ったセリフだと思います。

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