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2009年1月18日 (日)

ある意味現代の闇を描いている小説(「パレード」 吉田修一)

2008年のこのミステリーすごい!で「悪人」で17位入賞を果たした作家が居ます。彼の名は吉田修一といいます。ミステリー分野以外はとんと無頓着なので全く名前すら知らなかったのですが、既に「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞していたんです。反省。古本屋で探したら第15回山本周五郎賞受賞した「パレード」を見つけたので早速読んでみました。都内の2LDKでルームシェアーしながら暮らす男女四人の物語です。それぞれが何か不安や問題を抱えながら日々を生きているんですが、そこにある日男娼をして路上生活を送る一人の若者が加わります。その事をきっかけとして今まで隠れていた謎がジンワリと表面化していくという話です。正直読み出して直ぐの感想は「自分の苦手系の話で、お洒落な若者達の群像小説」という印象しかありません。登場人物達に熱がないし、何か日々の生活や会話も表面的な捉え方しかしていない。最後まで読むのはツライかなーと思ってたら、徐々にこの奇妙な小説にはまり込んでいきました。そして想像もし得ない驚愕のラストが待っていました。このラストの衝撃度を上げるための表面的で希薄な前半だった事が分かります。この読了感は乾くるみさんの「イニシェーション・ラブ」と似た感じがあります。読み終えるとそれまでの物語の印象がガラッと代わり、もう一度読み直したくて仕方なくなります。そして一番異質だと思われていた男娼の若者が一番普通で総てを見抜く役割だったという逆転劇。その点の技法は本当に見事としか言い様はありません。しかし手放しで絶賛できないの何故だろう?何かが欠けている気がするんんです。上手く表現できませんが、何か足りないんです。評判高い「悪人」を読んだら、その謎が分かるかもしれませんのでその時に。

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