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2009年1月 5日 (月)

芥川賞狙い(「となり町戦争」「鼓笛隊の襲来」 三崎亜記)

昨年末知り合いから一冊の本を借りました。全く名前を知らなかった三崎亜記(みさき・あき)という人の2008年作品「鼓笛隊の襲来」という本です。タイトルから不思議、読んでみたら更に奇天烈な世界観(だって表題作なんて台風の代わりに鼓笛隊が直撃するなんていう設定です)でした。おーこの変さ加減は私の好みだと思い読み進めていきましたが。意外や意外、設定自体は奇天烈なんですが物語りのテーマは家族愛だったりしてまともです。短編集だったので一度長編を読んでみたくなり古本屋を探索した所、デビュー作「となり町戦争」を見つけたので即購入&即読了しました。そう言えば映画化されていのを思い出し、作者が三崎氏だったんだと気付きました。さてデビュー作にして直木賞候補までになったこの本ですが、この本も世界観は奇天烈です。町同士が戦争をする時代。突然の戦争参加要請の任命書が主人公に届きます。何が何だか分からないまま任務につくが、別段何時もの生活何も変わらない日々が続きます。ただNEWSで流れる戦死者の数だけが日々戦争が起こっていて死者が出ている事を知らせてきます。このまま実感のないまま任務を終えるのか?と思っていたところ、突然スパイ行為がばれたから逃げろ!といわれ命からがら逃げます。そして数字だけでなくリアルに知っている人の死にも直面します。つまり現在世界中で起こっている戦争に対する日本人の認識が正にこの主人公の通りなんです。NEWSで戦争が起こっている事は知っていても、何処か現実味が無いまま普通に日常生活を送ってます。極稀に日本人の犠牲者や自衛隊の派遣のNEWSで一気にリアル感が増したりします。世界で起こっている戦争を隣町で起こっている戦争に旨くリンクさせ物語を作り上げています。その発想は本当に素晴らしいと思いましたが、如何せん肝心の物語に盛り上がりが全く無い。文庫版だけに書きおろされたというサイドストーリーも必要を殆ど感じませんでした。惜しい!でも本と奇妙な発想の持ち主だと思うので今後が楽しみです。直木賞というよりは芥川賞向きかな?

 

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