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2008年12月21日 (日)

とらわれるな!(「ジョカー・ゲーム」 柳広司)

先日発売になった「このミステリーがすごい!2009」で第二位を獲得した柳広司さんの「ジョーカー・ゲーム」を読みました。世間の書評やネットの個人ブログでも手放しで大絶賛されていて、このミスでも第二位という好評価。どれだけ凄い本なんだろう?と思っていたらたまたま新刊を貸してくれる人が居ました(感謝)。さて内容ですが、短編集なんですが総てスパイを主人公にした話です。スパイとはいっても007の様な超人的なスパイではなく、どこか出来る警察小説にも少し似た感じを受けました。どの話にも共通して出てくる言葉は「とらわれるな!」「死ぬ。あるいは殺す事はスパイにとっては最悪の選択である」という二つの言葉です。その通りに登場するスパイ達が、謎を解決していきます。ある一部分だけに囚われると見えない事でも、別の部分から見ると事件の真相が明らかになっていきます。その手助け(?)というヒントを出すのがスパイ養成学校の大佐なんですが、この役が実にイイ味を出しています。何でも昔自身もスパイとして活躍し、一度敵に捕まり物凄い拷問をうけたのにも関わらず何ももらさず、しかも隙をみて機密文章を盗って逃げたという武勇伝が残っています。そのせいで今は義手というのも何か怪しくて◎。確かに一つ一つの話が上手に纏められているし、キャラづけも上手いと思いますが、正直世間が話すほど傑作とは感じませんでした。これは好みの問題だと思うのですが、謎解きの要素に焦点を総て合わせているので、その背景にある国際情勢や各々の人物の描写が薄いんです(多分意図的ですが)。その辺りが個人的には今一つな気がします。それにしても人間が普段いかに何かに囚われて真実が見えていないかを考えさせられる本でした。

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