« 数少ないちゃんとしたホラー小説(「水霊 ミズチ」田中啓文) | トップページ | デビュー30周年記念アルバム(「HUMARHYTHM Ⅴ」松原正樹) »

2008年12月14日 (日)

何かに囚われた人の小説を読み囚われる(「秋の牢獄」恒川光太郎)

「夜市」でホラー小説大賞を受賞して衝撃的デビューをした恒川光太郎さんの三作目「秋の牢獄」を読みました。牢獄という言葉が示す通り何かに囚われて逃げ出せない人達を描いた中篇三作が収められています。表題作は同じ日を毎日繰り返すリプレイ族の悲しみ、二作目は一年のある日だけ突然現れる不思議な家に囚われた男の話、そして生まれながらにして不思議な能力が備わり、その能力を狙う人や運命に囚われている少女の話です。どの話も恒川氏らしい古式ゆかしい文体に彩られています。主人公たちの感情は極力抑えられ、あくまでも淡々と物語りは進んでいきます。この良い意味での熱のなさが恒川ワールドを作り上げています。決してストーリーテラーとして優れている分けでは無いんですが、美しくも何処かもの悲しい文章に読み手は囚われていきます。「夜市」を紹介した時にも書きましたが、何時か物凄い作品を書く予感のする作家さんです。どのタイミングでブレイクするのか?その瞬間を楽しみに追い続けたい作家さんです。純文学好きにもお薦めできる純和風ホラーです。

|

« 数少ないちゃんとしたホラー小説(「水霊 ミズチ」田中啓文) | トップページ | デビュー30周年記念アルバム(「HUMARHYTHM Ⅴ」松原正樹) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 何かに囚われた人の小説を読み囚われる(「秋の牢獄」恒川光太郎):

« 数少ないちゃんとしたホラー小説(「水霊 ミズチ」田中啓文) | トップページ | デビュー30周年記念アルバム(「HUMARHYTHM Ⅴ」松原正樹) »