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2008年11月15日 (土)

最新本格派ミステリー?(「インシテミル」米澤穂信)

1987年ミステリー界には衝撃的な出来事がありました。古典的なミステリー小説しか存在しなかった世界に一人の新人が現れたのです。彼の名は綾辻行人と言い、彼が世に放った作品は「十角館の殺人」と言います。この作品は斬新なミステリーを待ち望んだ読者に驚きと歓喜で迎え入れられ、たちまち(新本格派)という称号が与えられら、その後のミステリー界を方向付けた記念碑的な作品でした。実際ミステリーの歴史を語るとき(綾辻以前と綾辻以降)という言葉が普通に使われま。あれから20年が過ぎその間に様々なスタイルのミステリーが量産されました。本が売れない時代ではありますが、ミステリー小説にとっては何でもありの混乱時代に突入し日々新刊が飛び交っている状態でもあります。さてそんなミステリー界に一石を投じる作品を読みました。ここ数年「このミス」の常連となった米沢穂信(よねざわ・ほのぶ)さんの「インシテミル」(昨年のこのミス10位)です。意味深なタイトルには多分ダブルミーニングがあります。一つは英訳であり内容を表す(ぐるぐる回るよう陽動する)といった感じの意味。そしておちゃらけた表紙にもある(淫してみる)という当て字で、古典ミステリーをイイ意味で汚してみるといった感じの意味合いも含まれています。アルバイト情報誌にある時給11万2千円という高額なお金に惹かれ館に集まった12人は、そこで殺人事件と探偵をする事が今回の目的だと知らされます。当然の様に外に出る事は出来ない(クローズドサークル)で繰り広げられます。お約束で一人死に。また一人死んでいきます。犯人は一人とは限定されません。総てがお金欲しさに犯人なる可能性があります。面白いのが一人に一つずつ内緒で与えられた殺人武器(毒・火かき棒・ボウガン・銃etc・・・)の存在です。メモが添えられミステリーの古典作品での使われ方が書いてある点です。まさにミステリーを淫してます。冒頭舞台となる館の見取り図が掲載されているのですが、ミステリーファンなら綾辻の(十角館の殺人)との類似性を直ぐに気付くはずです。だって館の名が(暗鬼館)なんて完全に淫しています(笑)。正直あまり謎解き中心のミステリーは好きでは無いのですが、この崩し方は楽しめました。綾辻氏が20年前に作り出した(新本格派)ですが、この作品を読むと(最新本格派)の幕開けをしみじみ感じました。

 

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