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2008年10月 7日 (火)

科学を突き詰めると哲学になる(「デカルトの密室」瀬名秀明)

瀬名秀明という作家が居ます。一般的にはデビュー作にして大ヒットし映画化までされた「パラサイト・イブ」が有名ですが、その後も私的には名作の多い作家さんという認識があります。瀬名氏の持ち味は科学的な知識です。薬学部を卒業した後、現在は東北大学工学部の特任教授(SF機械工学企画担当)と作家を兼任しています。そんなリアルな科学的・薬学的知識のある作家さんなので、殆どの作品が物語りの半分は現実の科学的知識の披露です。この部分が作者が好きか嫌いか分かれる点だと思います。正直完全な文系脳の私には理解不能な部分も多く、理解しようとすると頭から煙が出そうな時もあります。しかしそれを我慢して読み薦めると物語としての面白さがにじみ出てくるという御褒美にありつけます。さて今回読んだ「デカルトの密室」という作品ですが、テーマは人工知能。もっと砕けるとロボットに心や意思はあるのか?というのが主軸です。以前瀬名氏の短編集「ハル」という作品を読みました。この作品もロボットに心が宿るのか?というテーマだったのですが、物凄く面白かったのでこの作品はその延長線上にある作品なので相当期待して読みました。が、難しすぎる!私の理解を相当超えた難しさです。一章読んでは休憩し、一章読んでは他の短編を読みしないと頭がショートしそうでした。途中で何度も投げ出しそうになりましたが、瀬名さんの作品は先に物語としての面白さが必ずあると信じて読み進めました。しかし、今回は物語性が薄い気がします。瀬名氏が言いたかった事、表現したかった事は何となくは理解できましたが、まだ読者に伝えられるほどの答えが出ていない状態で作品にした感じです。タイトルからも分かるようにデカルトの哲学をベースにしているんですが、結局は科学を突き詰めると文系である哲学に行き着きます。結果哲学という永遠に答えが出ない迷宮に迷い込みます。瀬名氏も迷宮から脱出しきれていない気がします。日本人の昔からの感覚で言えば、どんな物にも魂は宿ると教えられてきました。ロボットにも多分あるんでしょう。しかしそれは人間とは少し違う感覚の心だと思います。それを文章にするのは所詮無理な事なのかもしれません。久方ぶりに普段使わない脳の部分を使った気がします。

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受信: 2008年10月 7日 (火) 14時12分

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