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2008年10月 9日 (木)

「よくがんばりました」をあげたい小説(「ニッポン泥棒」大沢在昌)

自身の事務所に宮部みゆきと京極夏彦二人の大ベストセラー作家を抱え、自身も定期的に面白作品を連発している大沢在昌さんの「ニッポン泥棒」を読みました。大沢さんと言えば「新宿鮫」を代表とするハードボイルドが定番ですが、今回の作品は何時もとちと毛色が違いました。主人公は60歳を過ぎリストラされ熟年離婚された冴えない無職の男。ある日突然見知らぬ青年が尋ねてきて、「あなたは世界を揺るがすシュミレーションシステムの鍵です」と伝えられます。一体何の事か分からず、青年をケンモホロロに追い出します。しかしその青年が殺された事で一気に話が真実味を帯びます。怪しい人物達が次から次へと現れては、主人公を惑わし事件に引きずり込みます。そこには青年が言った通りの世界の流れを変えてしまうだろうシュミレーションシステムが実際に存在し、知らぬ内にコンピューターがランダムに選んだキーワードの一人に主人公がされていました。さーそこからはそのソフトを狙う様々な団体や人間がクンズホグレツの大騒動です。結末やいかに!といった感じの内容です。何時もの大沢作品のような陰のあり腕っ節も強い主人公ではありませんが、生き方を頑固に貫く姿勢はハードボイルドに通じる物があります。後今回の作品で今までの作品と決定的に違うのは、コンピューターの世界を描いている点です。大沢氏は私のイメージでは完全文系頭人間。その人間が果敢にも苦手な世界に挑戦した意欲は感心させられます。しかしそこはやはり知識がある人間の足元にも及びません。その筋の人が読めば稚拙すぎる点は否めないでしょう。しかし「よくがんばりました」という言葉はあげたいと思います。決して名作とは言いませんが、面白く読める一冊でした。文中文系人間の大沢さんらしい言葉がありましたので最後に書いておきます。「科学を好きになるのは直感でいい、だがそこから先には物語が必要だ」文系人間の悔し紛れの言い訳にも聞こえますが、実際の世界でもその通りと思わせる点があるのも事実です。深い言葉かもしれません。

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