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2008年7月13日 (日)

ハードボイルドは書き難い時代(「水上のパッサカリア」海野碧)

第10回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作である、海野碧(うみの・あおい)氏のデビュー作「水上のパッサカリア」を読みました。全く無名の新人がデビューするには、大概は何かの文学賞の受賞デビューというのが定番です。読み手側も賞を取った作品なら一度読んでみようか、という気持になるのも事実です。そこで思わず拾い物の才能に出会ったりすると無性に嬉しくなったりもします。さて今回の新人との出会いはどうでしょうか?帯びには傑作ハードボイルドと書いてあります。ハードボイルドを現代の様々な現実的な背景で書きあげるのは相当至難の業なので読む前から心配で仕方ありませんでした。読み終えその不安が当っていた事に「やっぱりか」と独り言を言っていました。文章力はある人だと思うので、新人とは思えぬ安定感は流石と言う感じですが、ハードボイルド小説として読むと今一つ。またミステリーとしても謎が薄い。ではどう読めばいいのか?というと恋愛小説としてならかなりの高ポイントをあげてもいいのではと思います。特に一緒に生活していた恋人が生きていた頃の章は引き込まれます。ミステリー章に応募したので無理にミステリー仕立てにした気がします。今後は無理にハードボイルド&ミステリーにせず人間臭い恋愛系がいいのでは無いかと勝手に思っております。正直このデビュー作はお薦めできるレベルではありませんが、今後に期待できる筆力のある新人だとは思います。

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