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2008年6月15日 (日)

泥臭くささが持ち味の作家(「FLY」新野剛志)

ホームレスから作家になったという珍しい経歴の新野剛志(しんの・たけし)さんの「FLY」を読みました。新野さんの作品は江戸川乱歩賞の「八月のマルクス」「もう君を探さない」「罰」以来の四作目です。物凄く印象に残っている作品は無いのですが、何か読んでしまう作家さんです。今流行りのトリッキーなミステリーではなくジックリ書き込む系の作風の為、インパクトが薄いのが勿体無い存在です。さて今回の「FLY」ですが、どうでしょうか?正直物語の展開にはかなり疑問を持ってしまう点はかなりありました。登場人物達の積年の恨みや執念が、そこまで?と思えるほどの理由付けが無い気がして、何処か距離感を感じてしまいます。中盤からグッとミステリー色が強くなって、謎も深まり一気に物語りにはまり込んでいくのですが、謎が解けても今一つスッキリ感がない・・・。筆力は問題ないと感じるので、無理に複雑なミステリー仕立てにしようとしてる点が距離感を生んでしまっている原因かもしれません。新野さんの持ち味は人間描写にある気がするので、謎なんて薄くていいのでもっと泥臭い人間心理をジックリ書いてもらいたいですね。以前も書きましたが何時か凄い作品を書く作家さんだと思っています。期待度を込めて今回はボチボチという辛口採点です。

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