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2008年4月15日 (火)

共感の文学(「永遠の出口」森絵都)

とてつもない受賞歴を持つ森絵都(もり・えと)という女性作家が居ます。「リズム」第31回講談社児童文学新人賞でデビューした後、「宇宙のみなしご」第33回野間自動文芸新人賞・「アーモンド入りチョコレートのワルツ」第20回路傍の石文学賞・「つきのふね」第36回野間児童文芸賞・「カラフル」第46回産経児童出版文化賞・「DIVE」第25回小学館児童出版文化賞と児童文学の分野で賞という賞を総舐めにした上、挙句の果てに「風に舞いあがるビニールシート」第135回直木賞を受賞する快挙まで成し遂げました。本好きの友人から「森絵都はいいよ~」と前から聞いていたのですが、余り読みたいと言う欲求が起こらず放置していたのですが、今回やっと「永遠の出口」という本を読みました。上記の受賞歴の中には入っていないのですが、作者が児童文学から一般文学に移り変わった記念すべき作品だそうです。さて内容ですが、簡単に言うと、主人公である一人の少女の10歳~18歳までの成長物語と言う感じです。永遠と言う言葉がキーワードになっていて、子供の頃は(永遠)という言葉自体に過敏に反応し、(永遠)という言葉に弄ばれていました。しかし成長するにつれて現実を知り失恋もし、家族や友達の間で翻弄され、反抗や絶望を繰り返しながら大人になっていきます。最後は(永遠)という言葉の呪縛から解放されるという感じです。確かに文章は上手いですね。しかしこの作品に関して言えば、40歳のおじさんである私には共感する事は非常に難しい作品です。多分10代後半から20代の女性が読めば物凄く共感できる作品では無いかと思います。今回印象に残ったのは「すべてを見届け大事に記憶して生きていきたいのに、この世界には私の目の届かないものたちが多すぎた。とりこぼした何かを嘆いているうちに、また新しい何かを見逃してしまう」という言葉です。子供から大人になる時代の心情を物凄く的確に表現してると思います。大人になると総てを見届けようともしなくなるし(無理だと悟ってしまう)、嘆く事さえ少なくなりますからね。森さんは物凄く純粋な女性なんでしょう。文章の端々から感じられます。

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