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2008年4月 8日 (火)

じゃあ国民やめた!(「サウスバウンド」奥田英朗)

昨日に続いて奥田英朗さんの本について書きます。森田芳光監督・豊川悦司主演で既に映画化された話題作「サウスバウンド」を読みました。内容は痛快なコメディー仕立ての一人の息子の成長記録とでもいいましょうか?その筋では有名な伝説の元過激派のリーダーを父に持つ少年の視点で物語が描かれています。前半は東京での生活。そこで父は働きもせず、税金も払わず、息子に対して「学校などいかなくてもイイ」と問題を起こしまくります。挙句の初ては「じゃあ国民やめた」などと言い、各機関と揉めに揉めた結果沖縄の西表島に移住する事になります。後半はその島での原始的な生活からスタートします。要約家族全員で落ち着いた生活が出来ると思ったら、勝手に住み着いた廃屋の場所は実は巨大リゾート開発予定地だったんです。どうかんがえても勝手に住んだ自分達が悪いのに、父は出ていこうとはしません。そこに開発反対の運動家や建設業者が絡んでクンズホグレツの大騒動になります。渦中のド真中にいる筈の少年ですが、どこか第三者目線で事件を見守ります。しかし東京生活の時は働かずに問題を起こしてばかりいる父が大嫌いでしたが、正しいと思うことを遂行する父を何時しか尊敬するように変っていきます。元過激派や建設業者との闘争という一見大きなネタになりそうな話なんですが、奥田氏はそこにあまり思想的な想いは入れずに、あくまでも息子の成長&失われつつある父親の威厳という形で物語を練り上げてあります。この本は2006年本屋大賞第2位を獲得している程評判の良かった作品だそうですが、私は個人的にはそこまでの読了感はありませんでした。奥田氏に出会ったのが「邪魔」「最悪」という暗めのミステリー仕立てだったので、ここ最近の軽いタッチの作風がどうにもしっくりきません。しかし本当の持ち味はこちらの方なのかもしれません。認識を代えて読めばもっと楽しめたかもしれません。テンポも良いし読み易いので、普段あまり本を読まない人にも気軽に楽しめる本だと思います。

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