苦々しい後味(「ススキノ、ハーフボイルド」東直己)
北海道を舞台にしたハードボイルド・ミステリーを書きつづける東直己さんの「ススキノ、ハーフボイルド」を読みました。東さんの作品を読むのは「ライト・グッバイ」以来の二冊目です。タイトルから分かるように今回もススキノが舞台です。作者の大ヒットシリーズの便利屋探偵シリーズの番外編という感じの位置付けだそうです(要所要所にシリーズに登場する人物やバーがさりげなく登場しています)。さて今回の主人公は大学受験を控えた高校三年生の男子です。北大を目指す程頭が良く、年上のホステスと半同棲しヒモのような生活をしています。夜な夜なススキの街を飲み歩き、街の住人達とも気心がしれています。ここまで来ると自分が高三の時を思い出し、羨ましい限りです。ひょんな事から同級生が麻薬で捕まり、知らず知らずの内に事件に巻き込まれていきます。しかし幾らスーパー高校生だといっても現実世界では何の力もなく、結局事件の解決は世馴れた大人が解決をします(当然と言えば当然ですが)。そして物語の終盤に用意された意外な真実。ここで前半でスーパー高校生として描かれた主人公の立ち位置がグラグラと崩れていきます。ここで一気に現実的な若さゆえの苦さみたいな物が読者にもハッキリと伝わって来ます。ありきたりの本なら、最後まで主人公をスーパー高校生で描ききるんでしょうが、東さんはそうはしませんでした。個人的にはその部分に物凄く共感しました。純粋なハードボイルドとして読むとガッカリだと思いますが、タイトル通り(ハーフボイルド)な感じが斬新で面白いと思います。続編である「後ろ傷」も既に発売中だそうです。久方ぶりにハードボイルドタッチの本を読んだので、無性にその辺りの本を読みたくなりました。
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