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2008年3月29日 (土)

現代版京極?(「背の眼」道尾秀介)

2007年「このミステリーがすごい!」で、「シャドウ」三位・「向日葵の咲かない夏」十七位と二作同時にランクインして話題を集めている道尾秀介(みちお・しゅうすけ)さんのデビュー作「背の眼」(第五回ホラー・サスペンス大賞特別賞)を読みました。記念写真を撮影したら、人の背中の部分に目の様な物が映り込んで(所謂心霊写真)、しかもその背中に目が映り込んだ人は、皆死んでしまうという都市伝説にも似た現象から物語はスタートします。主人公は冴えない作家。とある寂れた村を訪れて偶然体験した霊現象を解明しようと、心霊現象を研究しているという大学の同級生に相談しにいった所、先の心霊写真と自分の体験が密接に関係がある事に気付きます。問題の村にもう一度戻り調べを進めて行くと、この村には天狗伝説が存在し、ここ数年何人もの子供が神隠しにあっている事が判明します。探偵役を務めるのが心霊研究をしている聡明な同級生。様々なパズルのピースを集めて、事件の真相に迫り問題を解決します。冒頭にあったホラー的要素に反して犯人は人間、という当然といえば当然ですが、着地は少しドッチラケの感じで終了します。読書途中で感じたのですが、完全に京極夏彦の影響が物凄く感じられる事です。超常現象を目くらましに持って来て、実は犯人は人間の業みたいな着地や、冴えない作家と聡明で知識人の探偵役という対比。所々で語る探偵の深い知識を楽しむあたりは、モロ現代版京極作品です。只京極作品と違うのは、道尾作品は読み終わってもホラー的要素が抜けていないと言う点です。「世の中に不思議な事などないのだよ」というセリフに集約されるように、京極作品は最後には総て不思議が解明され、妖怪も怪現象も総てスッキリ消えてなくなります。しかしこの作品には本の僅かですが、霊現象的要素が存在する可能性が残してあります。そこが面白いと言えばそうなんですが、大半の方は釈然としない点かもしれません。正直デビュー作ではそれ程の才能は感じませんでしたが、最近の世間の評価を聞くと大化けしたみたいですね。今後読むのが楽しみな作家さんの一人です。

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