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2008年3月12日 (水)

音楽のセンスと推理のセンスは同じ(「落下する緑」田中啓文)

恥ずかしながら若気のいたりでその昔音楽で食う事を夢としていました。溢れんばかりの想いを抱いて東京に行きましたが、そこには全国から同じ様に夢を抱いた人間が所狭しと集まっていました。その有象無象の中から脚光を浴びれるのは本の一握りの人間です。その差は何だと思いますか?勿論理由は一つでは無いんですが、やはりセンスはかなりの割合を占めていると実感しました。演奏や唄が上手い人は沢山居ますが、センスのある人は意外に少ないんです(私もそうですが)。練習や努力で何とかならない世界なんです。音楽で食う事を諦めて15年以上経ちますが、未だに素晴らしい音楽家に出会うとそのセンスの良さに嫉妬してしまいます。今回非常に面白い本を読みました。JAZZとミステリーを融合させた小説です。2007年度「このミステリーが凄い!」で14位にランクインしていた、田中啓文(たなか・ひろふみ)さんの「落下する緑 氷見緋太郎の事件簿」という本です。この本は表題作が作者の幻のデビュー作で、若いサックス奏者がジャズの即興演奏の様に直感とセンスで事件を解決していくという風変わりな連作ミステリーです。事件も殺人事件みたいな大事件でなく、日常に転がる何気ない出来事の裏に潜む人間の隠された想いみたいなものを浮き彫りにしていきます。探偵役になる氷見という人物が事件の真意を直感で見抜く辺りは読んでいて爽快感があります。正に私がセンスのある音楽家に感じた嫉妬に似た感情を感じます。センスのある人間は何処か直感も鋭いんです。その一方、当たり前の事が出来なかったり抜けてたりします。その天才肌の特色を作者は上手く探偵役として描いています。田中さんの作品を読んだのはこれが始めてですが、他も読んでみたくなりました。やはりセンスのある人が書く文章は違います。もう少し私にセンスがあれば・・・。ぼやいてもどうにもならない事ですが。。。。

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