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2008年2月18日 (月)

難しいからこそ(「誘拐ラプソディー」荻原浩)

ミステリー小説とよばれる分野で(誘拐)は相当ベタなテーマです。既に何百か何千か分からない位、誘拐を扱った小説は世に送り出されて来ました。その中で後世に語り継がれる程の作品は一握り。非常に難しいテーマな気がします。実際の事件でも(誘拐)は成功例など殆ど無いにも関わらず、忘れた頃に起こったりします。犯人も作家も難しいから挑戦したくなるのが(誘拐)なんでしょうか?さてその(誘拐)に果敢にも挑んだ作品を読みました。荻原浩さんの「誘拐ラプソディー」という一冊です。元々(誘拐)ネタ自体がベタなので、展開もベタに進んでいきます。やる事なす事上手くいかず、本気で死ぬ気も無いのに死ぬフリをしにきた場所で、偶然にも一人の金持ちの子供らしい存在に出会います。突発的に誘拐をし早速身代金を要求。しかしそこの家は実はヤクザの大親分の家で、誘拐した少年はその一人息子だったんです。さーどうなる。中盤過ぎまで主人公の犯人はその事を知らないので、物凄くノホホンと話が展開していきます。しかし話が進むにつれて糸が縺れだします、ヤクザは犯人を勝手に中国人一派と決めつけ宣戦布告。そこにきな臭いを感じ警察も絡み、一気に前半のユルさから急展開のドタバタ喜劇へと雪崩れ込んで行きます。この辺の展開は上手いです。そして荻原氏の持ち味であるホロリとさせるエンディング。楽しく読むことが出来ました。まー誘拐モノとしては傑作とは言えないばかりか、そもそも(誘拐)モノとして読むと肩透かしを食らう感じです。犯人と子供のハートフルロードムービー風小説とでも言いましょうか?そんな荻原ワールドを楽しむ為に、(誘拐)という形を借りたとでも言った方がシックリ来る気がします。荻原作品を読むのは「ハードボイルド・エッグ」「噂」「僕達の戦争」「明日の記憶」と5冊目です。取り立てて物凄く好きな作家さんという認識は無いのですが、古本で見つけると知らず知らずの内に手に取っています。そういった意味でも不思議な作家さんです。

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