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2008年2月 8日 (金)

毒は毒をもって制す(「ハゲタカ」真山仁)

「本書はフィクションである。登場する企業・団体・人物は総て架空である。ただ、読者により親近感を持っていただく為に、歴史的流れについては実際の時間の流れを大切にしている」という但し書きのある本を読みました。既にNHKの朝の連ドラでも放送された真山仁著の「ハゲタカ」という本です。タイトルから分かるようにM&Aが物語の中心のフィクションですが、上記の通り時間の流れは日本のバブル崩壊後の実際の流れにホボ同じとなっています。真山氏は元読売新聞の記者だけあって、フィクションと言えども物凄い臨場感を感じさせてくれます。勿論数字や難しい事に弱い私は、M&Aや企業再生の話など全く知識がないので、読む前は理解できるかどうか物凄く心配でした。しかし読み始めるとそんな心配が杞憂だった事に気付きます。舞台はバブル崩壊後の日本。不良債権を抱えた銀行や、とっくに破綻をしている企業を狙ってアメリカからハゲタカと呼ばれる企業買収集団が日本に乗り込んできます。そしてそのリーダーを務めるのが日本人である主人公です。もう一人の主人公は破綻したスーパーを奇跡的に再生させた手腕を持つ元銀行員。そこに潰れる寸前の老舗ホテルの再建を任された女性も登場します。全く関係の無い三人が何時しか奇妙な縁で結ばれていきます。物語の殆どは企業買収とはどんな方法でなされるのか?という感じの再現に費やされています。素人の私にも分かりやすく非常に興味深く読めました。経済入門書としては抜群の分かりやすさです。しかし小説としてはどうでしょう?冒頭ハゲタカと呼ばれる主人公の父親が割腹自殺をしたというNEWSが流れますが、ラスト近くまでその事に対する伏線は全く出てきません。そして唐突な真相告白。まー伏線が無くてもそうだろうなと思える結果。これは正直がっかりでした。ネタとしては面白いしリアル感も物凄くあるので、物語の部分のレベルが上がれば申し分ない小説になった気がします。まーそこまで望むのは望みすぎでしょうか?今回一番興味深かったのは、ハゲタカという存在は一般的に(絶対悪)の様な存在に認知されていますが、実はそうではなく、彼らの様な存在が無ければ裏に潜む悪を排除できないという図式が理解出来た事です。やはり毒には毒です。それにしてもバブルが崩壊してから20年近く経とうとしているのに、未だに日本はあの時のツケを払い続けている気がします。やはりあの時に潰れそうな所は潰しておかなければ行けなかっただと実感しました。

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