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2008年2月10日 (日)

計算された暴走(「阿修羅ガール」舞城王太郎)

「減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。返せ」小説を読むにあたって出だしの一文は非常に大切です。その良し悪しでその後ののめりこみ方が全く変ってくる気がします(勿論そうでなくても良い本は沢山ありますが)。このインパクト絶大の一文から始まる小説を読みました。舞城王太郎(まいじょう・おうたろう)さんの「阿修羅ガール」という一冊です。舞城さんの著書はメフィスト賞受賞のデビュー作「煙か土か食い物」と、「熊の場所」以来の三冊目です。感想としては今まで読んだ三作品の中で一番ぶっ飛んでいます。そもそもこれは文学として成り立ってるんだろうか?非凡な私には良く分かりません。しかし物語としてどうかという前に強烈な魅力に溢れて、不思議と魅了されてしまうのは事実です。ストーリーを語ることは敢えてしません(しないというか必要がないというか)。全体を通して一人称で畳み掛ける様な文体が羅列されます。一読すると只単に乱暴に書き殴っただけ様に感じますが、そこには物凄く綿密に考え抜かれた文体が並んでいます。絶対に確信犯です。この作品は第16回三島由紀夫賞を受賞していますが、案の定賛否両論激しかったみたいです。読了後何か物凄く印象に残ったシーンなどは無いのですが、冒頭一文に集約されている様に、若いうちは振り子の振りが大きく、(好きでもない人とやる)という右振りから、(自尊心が減った)という左振りと大きく振り子がゆれます。ゆれが大きいからこそ混乱し支離滅裂な行動に出る。それが若さ。我ながら臭い事を言いましたが、舞城氏はその感性を今でも持ち続けている稀有な存在である気がします。基本的には20代前半までに人が読めば大共感を得られる作品だと思います。枠に囚われて自分の狭い世界だけで生きているしたり顔の大人があーだこーだ言う本では無いです。私も含めて。

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受信: 2008年2月10日 (日) 16時07分

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 小説を読むとホッとした気分にひたれる。あわただしい日常からいったん切り離され、それがフィクションだとしても、自分とはちがう生活、生き方の拡がりに身をおくことができる。リアリティが満喫できる小説も良いし、反対に夢物語、メルヘンタッチも捨てがたいものを感じる。  どちらかというと既存作家よりは新人の本を手にすることが多い。この10年ほどの直木賞作家、山本周五郎賞作家はまずは当たり外れがないと思っている。江戸川乱歩賞受賞作もわるくはない。ただ、このところ芥川賞の最新作はパスようになった。 ...... [続きを読む]

受信: 2008年2月27日 (水) 12時33分

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